緩和薬物療法認定薬剤師として
千里中央病院科長S・T
緩和ケア病棟ではオピオイド製剤をはじめ、症状緩和に必要な様々な薬剤に対して医師や看護師と連携した処方設計、副作用モニタリングを行いチーム医療を実践しています。
中でも、薬剤師に特化した薬理学、薬物動態学的な視点からのアプローチを重視し、副作用のアセスメントや処方提案に努めています。しかし、終末期には薬物療法で緩和できる苦痛は一部にすぎないということ。全人的な取りきれない苦痛に対して薬学的介入以外のことが必要となります。
一番大切なことは、“人としてより添う”こと。
人は皆、必ず死を迎えます。「どのように生きるのか」と同様、「どのように最期を迎えるのか」はとても大切なことです。穏やかな最期を迎えるためにサポートできることは何か。それを考えることが大切な仕事であると感じています。
緩和ケア病棟での経験は、薬剤師としてのみならず、人として多くのことを学ぶ貴重な経験となり、“生きること”の大切さを教えてもらえていることに感謝し、多くの患者様が生を全うし、残してくれたものを無駄にしないよう、私達は型として何かを残していかなければならない。それがエビデンスの少ない緩和医療における臨床研究の重要性ではないかと考えます。貴重な情報を学会発表や論文へ繋げ型にしていくことが緩和ケアに関わる薬剤師の使命だと感じています。
当院は、他職種とのコミュニケーションが非常に取りやすく、協力的でもあり働きやすい環境です。そして、個々の薬剤師の積極性を大切にし、実践、経験を積ませてもらえるという恵まれた環境にとても感謝しています。